眠ノ記

寝言と黒歴史を丁寧に磨いてお出しします

出会い系の女と3ヶ月一緒に棲んだ話(出会い編)

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時は2000年前後。タイトルに書いた通りの話でゴメソ。
とはいっても当時は「出会い系」なんて言葉はなく、「ツーショットチャット」と言っていた。まあ、わかりやすく言うとPCでしか使えなくて、文字しか打てないLINEみたいなもんだ。個人情報の意識なんてひっくひくで、現場に行って男でもいたら騙されたと思って帰ればいいと思っていた。

なぜそんなサイトを使ったかと言われると、まあ、夏だったからとしか――。

 


 

出会い

クソ暑い日の夜、渋谷駅で待ち合わせ。定時通りに現れたのが、今回ヒロインの大役を仰せつかったZちゃん(仮名)である。ダボダボTシャツに細いパンツ、でかいリュックにバッジをたくさん。具体名を出して恐縮だが、「菊地亜美miniサブカルver.」みたいな見た目だった。目鼻立ちは整っているけど、なんかドラクエのスライム感がある。

会った瞬間、「私で大丈夫?」と風俗みたいなことを言われて不安になる。あとから聞くとただシンプルに不安だったようだが、有料だと誤解するからやめてほしい。カウント2.9秒で「大丈夫だよ」と回答。

すると、Zはおもむろにリュックからハート形のサングラスを装着して歩き始めた。帰りたいこと山のごとし。

 

遊ぶ

普通にカラオケ。普通に歌い、普通に仲良くなるが、途中からの怒涛のaikoラッシュには参った。妙に重いよ。初対面は胃もたれしてしまうよ。(しかしaiko問題はこれだけにとどまらず、長いあいだ悩まされることになるのであった)

Zは東京の大学に通うために、地方から出てきたばかり。リストバンドやらインディアンジュエリーやら、目の下のラメラメやら、東京に憧れすぎてイデオロギーが渋滞していた。ただ、カラフルに着飾ってはいたが、田舎の子らしく素直な性格なのはすぐに分かった。僕が繰り出すサザエさんのモノマネにも腹を抱えて笑い転げたくらいだ。

※なんと、僕はキャンキャンが世に出るずっと前からマスオさんの「え゛ぇ!?」をマスターしていたのだ。あとは波平→アナゴ→タラヲとつなげてフィニッシュ。

Zは笑いが頂点に達すると「ハァーン」という音を発する、管楽器みたいな不思議な体の構造をしていた。あとめちゃくちゃ声がでかい。

最後は一緒にハイスタを歌って終了。

 

家に行く

そんなにすることもないので、Zの家に。山手線・大塚駅から歩いて5分くらいと、なかなかの好立地だった。が、とにかく狭かった。家にお邪魔した瞬間からとにかく独りになりたかったので、さっそくシャワーを浴びさせてもらうことにした。

が、そこでとんでもない事態が待っていた。

 

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シャワールームが真っピンクだ。

しかもサンリオとかじゃなくて、ポワゾンのほう。どんなセンスなんだ。一気に首筋が寒くなった。シャンプーもヴィレヴァンでしか買えないようなよくわからない銘柄で、馬の首がポンプになってるみたいなヤツだった。怖いので早々に浴びて出ると、真正面の洗濯機にはリーゼントにしたトータス松本のポスターが貼ってあった。ほう、こんな感じが好きなのか。
そして僕はおもむろに濡れた髪をかきあげ、ガッツを決めて、バンザイ精神で、菊地小亜美の待つリビングへ歩いて行った。

 

Zはものすごく保険をかけたかったのか、「痩せれば可愛いってよく言われるの」としきりに言っていた。ただ実際のところ、そこまで太ってはいなかった。顔がパンパンなだけだ。来る日も来る日もカルパスを食べ続けてきたのかもしれない。あの調子で痩せたら、ドアラみたいな体型になったんじゃないだろうか。
当時の僕はいまより10キロは痩せていて、174センチ53キロくらい。で、向こうはたぶん155センチ52キロくらい。そのくらいの質量の物体が2つ激しく動いたという意味では、あの夜は辰吉丈一郎薬師寺保栄バンタム級タイトルマッチと似たようなものだったといえなくもない。

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朝8時

ア"ーーーーー!!!

謎の声で目が醒める。前日のマスオさんの100倍返しだ。なにやつじゃ!と隣の女の髪を掴んで飛び起きると、aikoの『ボーイフレンド』が爆音でかかっていた。

意味が分からない。

しばらくすると事態が飲み込めると同時に、殺意が湧いた。


…Zの目覚ましだ。

こいつ、こんな状態で真面目に大学行こうとしてやがる!
それからというもの、毎朝aikoの歌声にのせて無理やりテトラポットに登らされる生活がはじまるのであった。

 

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「生活編」につづく