眠ノ記

寝言と黒歴史を丁寧に磨いてお出しします

バカリズムは嫌いになれない

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今日はバカリズムさんについてのお話をします。
とはいえ、大喜利に、ライブに、バラエティに、ドラマの脚本にとあれだけ活躍されている方です。好きだすごいだのというつもりはありません。


「なぜ嫌いになれないか」
というひねくれた角度でお話したいと思います。

 

 
バカリズムさんは顔立ちこそ柔和ですが、心にナイフを忍ばせた人で、炎上しないのが不思議なくらい挑発的な物言いをすることがあります。そして、たとえ燃えかけても圧倒的な「できる感」と、ツイッターなどでの巧みな発信力で回避。芸人の中でもトップクラスに優れたバランスを持ち合わせた方でしょう。

すごいのは、噛みつく対象が往々にして女性だということ。男子校芸人らしい理想と偏見が生む歪んだ恋愛論は、同じ男子校出身の僕にとっても共感する部分が多いです。なんというか、「男と遊ぶ方が楽しいや!」と言ってきたからこそああなるんだな、というか。

 

その歪みがもっともよく表れていたのは、フジテレビの番組「アイドリング!!!」での司会業だったように思います。(この番組は僕のニート期間とまるかぶりしていたので、よくyoutubeなどで見てました)

特に後期は、よくファンが爆発しないなと思うほどの暴君ぶり。

東にアイドルぶるメンバーあればせせら笑い、
西にモデルになったメンバーあればひとまず泣かせ、

南に下ネタをとぼけるメンバーがあれば徹底追及し、
北に女同士の抗争があればここぞとばかりに煽り、
全方位誰かれ構わず鼻の穴に指を突っ込んでいました。

「アイドル育成番組なのに、世間で活躍したメンバーを叩く」という訳の分からない構図。それなのに「20歳近い年下メンバーもさん付けして呼ぶ」という妙な距離感は、バカリズムさんならではの独特なグルーヴ感を生み出していたように思います。

 

中にはドSのファンや、推しメンがこっぴどくやられることを快く思わないファンといたのかもしれませんでしょうが、僕はまったくそれが気になりませんでした。正確に言うと、昔はあったのですが、ある時を境にスタンスがコロッと入れ替わったのです。

そして、ものごとが変わるには理由がある。
バカリズムさん自身も、司会になったその瞬間から暴君だったわけではありません。

 

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それはアイドリング初期。
イベントの後で、スタッフが飲食しながらにぎやかに笑いあう打ち上げのような回のことです。バカリズムさんは新入社員のようにスタッフのあいだを練り歩き、感想を聞いて回ったりしていました。その時はまだ今ほどの地位になく、どういうスタンスの司会になるかすらフワフワしていた時期でした。

バカリズムさんは粛々と進行をしていたのですが…あるメンバー(現在は引退)の一言が突如として場の空気を一変させます。

 

「なんか面白いことやってくださいよ」

 

それは、シュールなコント出身でギャグの引き出しが少ないバカリズムさんには鬼の要望でした。しかも、イベント用に手持ちのポップな弾をすべて使い果たした直後のタイミングです。

「もう何もないよ!」
「俺全部出し尽くしたじゃん!ひどくない!?」

バカリズムさんの口から、今では考えられないような泣き言がこぼれます。どうしよう、どうしようと言いつつ、芸人のサガでゆっくりと膝を伸ばして立ち上がり、さらにごねること数十秒。
なんとか小声で呟いたシュールなギャグは、およそすべるはずのない身内の盛り上がりを一瞬で凍らせました。



キィィィィーン……🍨

 


そんな音が聞こえるほど。



あんなに場を凍らせた芸人を僕は見たことがありません。よりによって、あのバカリズムさんが。いや、おそらく、あのバカリズムがギャグで滑ったらえらいことだという緊張感があるからこそ生まれた、圧倒的静寂だったのでしょう。クソ上司の言う「お前のことを思うからこそ怒るんだぞ」と似た構図というか。現に、ギャグ自体は良くも悪くもそんなに珍しい感じのものではありませんでした。

でも、結果は結果。残酷な審判は下されたのです。

 

「クイズに出ると学力がないのがバレるから出ない」
「太ったら芸がぶれるから体型は維持する」
というほど己のブランディングにこだわるあのバカリズムさんが、何も考えてないアイドルの振りに滑らされるなんて。
これほどの屈辱はなかったでしょう。

僕はすべての回は見ていませんが、おそらく他にも何度か似たようなやりとりがあったはずです。アイドリング!!!初期のメンバーの態度は、考えの浅いそのへんの中高生そのものでした。きっとその積み重ねが、バカリズムさんの心に修羅を刻んだのです。3期生、4期生、5期生…後から入ってくるメンバーはより礼儀正しく、より萎縮していきました。

ということで、あの鬼スベリを見て以来、僕はバカリズムさんに一切の不満をもたなくなりました。
「あんなものを見てしまったんだから一生ついていこう。」
そんな謎の忠誠心とともに、バカリズムさん、いや、升野さん(アイドリングのファンはこう呼ぶ)を見つめています。

ちなみに、同じ理由で応援している人があと二人。
・内Pですべり倒した有田哲平さん
・ライブのMCでチャラ目の軽口を叩いていたチバユウスケさん

次点で、
・地声の全然違うゆうこりん
でしょうか。

みなさんは、絶対に映像を探さないでくださいね。