眠ノ記

寝言と黒歴史を丁寧に磨いてお出しします

肺気胸、入院、医療ミス。

当ブログNo.2の人気記事、
やつあたり骨折、痛杉内俊哉 - 眠ノ記
に続く小怪我シリーズ第2弾です。


今回は「肺気胸の話。
どんな症状か知らない人もいると思うので、まずは▼でイメージしてみてください。

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気胸とはなんらかの原因で肺に穴が開いてしまい、そこから肺の外側の胸腔(きょうくう)内に空気が漏れ、肺がしぼんだ状態をいいます。発症の原因により、外傷性気胸自然気胸の2つに大きく分けられます。
引用元:自然気胸の基礎知識|東京慈恵会医科大学附属柏病院


要するに肺が風船みたいにしぼむ、ということ。
痩せ型の男がかかりやすい病気らしいです(ガリガリでもないんだけど)。僕の場合はまさに上の画像でいうと、「高度の自然気胸」の症状にかかりました。
今回は症状や治療方法、入院生活などの体験談を語ってみます。

 



<目次>

 

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症状発生~肺気胸と分かるまで

僕はまだ大学生で、夜20時頃にイチローマリナーズ)のニュースを見ていました。あぐらをかいて、ただ見るだけの無の状態。特に激しい運動をしたとかではありません。
突然、背中側に大きな痛みが。ぐーっと大男にのしかかられたような圧迫感で、僕の体はどんどん前傾になっていきます。

気胸というと「パン!と破れて、肺(体の前側)が痛い、呼吸が苦しい」というイメージかもしれませんが、僕の場合は、漏れ出した空気の圧迫感で背中が痛くなったのです。生まれて初めての感覚でした。

すぐに台所に立つ母に報告すると、
「よっしゃ、任せときな!車で病院まで送ってってやるから!」
という感じでいそいそとメイクをはじめました。
10分ほど悶える僕。いや今はいいだろ…という本音が喉から出かかります。


目的地の病院は山を登った先にあって、途中には、鹿と猪しか見ていないような3mくらいの小信号がいくつもありました。
ハンドルを握りしめ、「待ってろよ、息子もうすぐだ!」という顔をしながら、そのすべてに律義に従う母。法律を積極的に犯せとはいいませんが、少し頭を柔軟にしてほしいと思いました。


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施術~謎の機械を装着

病院につくとすぐに緊急外来へ。
そこで今回の症状は気胸だと聞かされることになります。当時の僕は知識がなく、想定より大ごとだと知って驚きました。

そして施術するわけですが、驚くことに、その辺で気ままにやるんですよ。ドア開けたらすぐ外、みたいなところです。タンカに乗せられたので、てっきり手術室で全身麻酔でもするんだろうと思ったら、いきなり始まったのです。

 

具体的には、鎖骨と乳首の中間あたりに局部麻酔して、チューブを体内に押し込みます。イメージとしては意識がある状態で心臓マッサージされるような感じですね。
これが、なんだか知らないけど異常に痛い。担当医師は「またまたー」みたいな顔してグイグイ押し込んできましたが、こっちが正しかったと知るのはずっと後の話――。

身体に穴が開くってなかなかの体験です。耳にしろ口にしろ、穴といっても洞窟スタイルじゃないですか。そうじゃなくて、何もないところからパスーンとチューブが入ってくるのはすごく不思議。


ともかく僕は入院することになりました。それからというもの、水を貯めたナゾの機械とともに暮らすことに。僕の体内から出ているチューブがそこにつながっていて、呼吸するたびに泡が立ちます。つまり余分な空気を体外に排出しているということ。これが止まれば、肺がめでたく元の大きさに戻ったというわけです。
基本的に気胸は自然治療なんですね。(事故が原因とかなら違う処置があるとは思いますが)

 

装置にはキャスターがついてるんで、ガラガラ音立てて移動できます。ものすごく不健康なお遍路というか、近未来のペットを連れているというか…よく一緒に院内を歩いたものです。
風呂(濡れタオルで体を拭くだけ)も、トイレも、2人は一緒。

 

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地味に地獄の入院生活

みなさん経験があるように、呼吸器系が調子悪いというのはものすごいストレスです。呼吸、セキ、くしゃみのたびに気になるし‥‥。それに加えて身体を動かすとチューブがいろんなところにこすれて痛い。なのでできるだけじっとしてました。

当時はスマホもないし、もちろんタバコも吸えないので、日中は週刊誌かなんかを買ってベッドでひたすら時間をつぶす日々。やがてクロスワードパズルに移り、最後にはとにかく読むのに時間がかかる英字新聞に手を出しました。

そんなザ・文系野郎なのに、休日になると当時付き合っていたサクラちゃん(※)が「ダーリーン!」と走って病室に入ってくるものだから、同部屋の人たちにとってはかなりミステリアスなキャラだったんじゃないでしょうか。あいつは派手なのか地味なのかと。
(※)参照→男なのに車道側を歩かなくて説教を食らった話 - 眠ノ記


看護士さんとのコミュニケーションもほとんどありませんでした。普段あんなにエロい妄想をしているのに、実際に身体が悪いとそれどころじゃないんですよね。

 

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治療ミス発覚~退院

そんなこんなで退屈な入院生活を過ごしていたわけですが、ひとつ気になることがありました。それは、謎の装置から出る泡が少なすぎること。入院時に「ボコボコ出る」と聞かされていたのにそれほどじゃないし、あんまり身体も楽にならないし、変だなと思っていました。

入院から1週間、回診に来た担当医に思い切って問いをぶつけてみると、再検査に。
「ゴメンね!チューブ差し込むとこ間違えてた!」
とタメ語で軽く返されました。

差し込むところを間違えただあ!?
プロが犯した童貞みたいなミスに僕の家族はブチギレ。交渉の結果、残りの期間は費用据え置きで優雅な個室生活となりました。
それからは呼吸するたびボッコボコ泡立つし、くしゃみするとボコーン!ってなるし、生きてる実感がありました。
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全2週間ほどが過ぎていよいよ退院へ。病院への不信は残りましたが、チューブを抜く時は和みましたね。
「よし抜いたぞ!ふさげふさげふさげ!」
みたいな感じで慌てて縫うんですよ、冗談みたいな話だけど。

ききゅうとききょう
おなじくうきがつまっているのに
一文字ちがえば天と地だから
ことばはおもしろいんだよなあ

と、みつを師匠のごとくつぶやいた次第です。

 


退院した日のことは鮮明に覚えています。
帰り道は八王子ラーメンの名店「えびす丸」でチャーシューメンを食べ、井上和香がグラビアの青年誌を買いました。身体中が脂っこいものを欲しているという感じです。
家に着いた瞬間、父母ともども3人で思いっきり煙草を吸ってやりましたよ。吸い続けたら「再発のリスクが禁煙時の30倍だよ」と言われたんですが…とにかく我慢というものを知らない20代前半でした。

結論

・体質→痩せてる男がなりやすい
・痛み→痛いというより苦しい

・入院生活→ストレスがあって暇
・医者→たまにミスる

・再発→一度やると再発の可能性大、喫煙を続けると30倍

これだけでも覚えて帰っていただけたら。
では、次回の記事「2度目の気胸」でお会いしましょう。